【父】【都合のいい男】【嫌でも気付かされる】

【都合のいい男】

俺の就活戦略について相談するために父親に家に来てもらった。そこで話をしたわけなんだけど、俺は父親に冷たい態度を取ってしまっていた。一切笑顔を見せずに機嫌が惡そうに受け答え、誕生日プレゼントをもらった時に嬉しいリアクションをせずに、不満そうに受け取った。俺は父親に嫌悪感をずっと抱いてきたからだ。容姿が醜いことを父親のせいにして憎んでいた。正直今日も話したくなかった。だから、俺はずっと嫌そうに父親と会話した。

 

しかし、俺が本題を相談し、すんなり了承してくれたのを見て心が揺らいだ。叩かれるのを覚悟していたし、むしろ叩いてほしかった。なぜなら、俺が憎んでいる奴はやはり理解のない最低野郎だと再確認して、自分を正当化しようとしたからだ。でも結果は違った。真摯に対応してくれて、俺の持ちかけに快諾してくれた。そして、自分でも分かるくらいに、自分の態度が変わった。笑顔もこぼれた。散々、父親に○んでほしいと思ってたが、自分の頼みを聞いてくれた瞬間の心変わりに自分でも吐き気がした。自分に失望した。俺はやはり自分が努力をしないことを棚に上げて、誰かのせいにしたかっただけなのか。

 

父親

父とラーメン屋に行き、仕事の話を聞くといろいろ教えてくれた。会社の話、過去の話、祖父の話など。父親の歴史の積み重ねを感じた。今までしてきた苦労を察したのだろうな。なんだか、俺はこんなにも健気な父親を嫌い、憎み、殺めたいと思っていたのだ。もし、父親が今まで俺がずっと抱いていた感情を知ったらどんな気持ちになっただろうか。

絶望だろうな。深い深い。この世には神なんていないのかと。必死で生きて、必死で育てて、そして何よりも最後の最後に裏切られた理由が自分でもどうしようもない容姿のせいだなんて。自分の人生、自分の価値全てを否定された気持ちになるだろうな。考えただけで涙が出る。どうしてそんな仕打ちを受けなければならないのだろうか。涙がこぼれたよ。父親も選んだわけじゃないのにな。運が悪かったんだよ。全部。決して父親が悪いんじゃない。俺が自分の置かれた運命を受け入れられず、弱かっただけなんだ。その上で努力するのが面倒だっただけなんだ。

 

【嫌でも気付かされる】

俺は客観的に自分の行動を捉えると、驚くほどに楽をしている。一番効率的な行動を面倒だし疲れるので避けている。集中しなければいけない場面でも、他ごとを考える。それは妄想だったり、他人のこと、はたまた俺の考え事。どれもどうしても頭に浮かんできてしまうことではない。全て俺が考えたいから考えているんだ。この事実に気づいてしまった。

そして、ギターも本当にやらなければいけないのは、地味で面倒な作業だ。それを怠って前には進めない。